山梨の長崎知事は「富士山麓の市街地にも電車を走らせる」
山梨県で目下浮上している最大の構想といえば、「富士山登山鉄道構想」をおいてほかにありません。その地元説明会が11月21日と23日、それぞれ山中湖村と富士吉田市で初めて開かれました。両日ともに長崎幸太郎知事が自ら説明役を務めましたが、21日の山中湖村での説明会で長崎知事は「富士山の来訪者管理や環境への負荷において、鉄道は電気バスよりも優れている」などと強調するとともに、山中湖村を含めた富士山麓の市街地でも鉄道を走らせる考えを示したといいます。これに対して説明会に参加した多くの村民から賛同する意見が相次いだとか。富士山登山鉄道構想については当ブログとしても2023年2月に関連記事を配信しており、大変注目しています。当ブログは「山梨宴会コンパニオン漫遊記」の看板を掲げていますが、宴会コンパニオンと観光振興は切っても切り離せない関係にあるからにほかなりません。富士山登山鉄道構想は長崎知事が2019年の初出馬時から公約に掲げて積極推進してきましたが、同知事は2023年1月の知事選で再選を果たすと「当選したことで構想の推進は民意を得たと思う」と自信を深める一方で、「ただ、十分な理解が広がっていない状況も認識している。富士山の普遍的価値を継承する手段なので、別の方法もあれば提案いただき、早期に議論をスタートさせたい」と並々ならぬ意欲を見せていました。したがって初の地元説明会に漕ぎ着けたことは、長崎知事にとって極めて大きな一歩だったというわけです。

富士吉田市の堀内市長は災害対策などを理由に反対姿勢を示す
とはいえ、この富士山登山鉄道構想に誰もが賛同しているわけではありません。この富士山登山鉄道構想をめぐっては、富士山の麓の北麓6市町村のうち5町村の首長が賛成していますが、唯一、富士吉田市の堀内茂市長だけが「鉄道建設で富士山の自然破壊が進む」などと懸念を表明しています。11月23日に富士吉田市で開かれた地元説明会では、山中湖村での地元説明会のときと同様に長崎知事が登壇。堀内市長が会場にいることを意識したのか、長崎知事は「さまざまな富士山の恵みというものを、しっかりとやっぱり後世に引き継いでいかなければならない。こういう思いはですね、おそらく今日ここにお集まりの皆さんと私たちは共通している。いかがでしょうか?」と賛同を求めたほか、富士山の現状についてユネスコの諮問機関から来訪者数のコントロールや環境負荷の軽減などが求められていることに触れて、麓から五合目までをLRT(次世代型路面電車)で結ぶ富士山登山鉄道構想は解決策のひとつだと訴えたといいます。しかし地元住民からは「とにかく噴火が怖い怖いという話を何年もしているのに、なんで登山電車ですか?」「登山者数の制限を設けることと、それを条例で規制することを検討していると新聞で読んだのですが、スバルラインを規制してシャトルバスのみとすれば、一挙に解決するのではないでしょうか?」など、同構想に対するは反対意見や疑問視する声が相次いだと報じられました。地元説明会の席上で堀内市長が発言することはありませんでしたが、説明会終了後の取材に対して同市長は「災害等に対する保安対策ですね。この点がですね、ほとんどしっかりと表示されていないということです。より反対論が強くなったというのが個人的見解でございます」と話し、改めて反対の姿勢を示しました。

五合目まで敷設されている「富士スバルライン」を軌道として活用
先ほどの長崎知事の発言の中にユネスコに関する話が出てきましたが、そのあたりについても説明しておく必要があるでしょう。2019年に富士山五合目を訪れた人たちは約506万人に上っており、世界文化遺産登録前の2012年に比べて2.2倍に急増したといいます。世界文化遺産に登録されれば世界中から観光客が押し寄せることは容易に想像がついたわけですが、ユネスコの諮問機関イコモスも2013年時点で「登山者が増えれば、富士山の文化遺産としての価値などが損なわれる恐れがある」として、登山者の管理などを求めていました。こうしたことから長崎知事が推進しようとしている登山鉄道の整備は登山者数の抑制や管理につながることから、イコモスが打ち出した指針に合致しているともいえます。富士山登山鉄道構想検討会が2021年2月に可決した構想案によると、アクセスについては環境や景観に配慮して既存の県の有料道路「富士スバルライン」上にLRT(次世代型路面電車)を走らせることが最も優位性が高いと提案しています(※イラストは「富士スバルライン」上を走行するLRTのイメージ。© 富士山登山鉄道構想検討会)。富士山に登ったことがない人はご存じないかもしれませんが、五合目までは歩いて行くことができるのはもちろん、
「富士スバルライン」を利用して自動車やバスなどで行くこともできます。2023年11月25日放送の「タモリステーション」(テレビ朝日系)で、タモリが富士山の五合目からほど近い宝永火口を訪れる映像が流れましたが、傍らでテレビを見ていた細君が「タモリって、体力がハンパじゃない!」といって驚いていました。しかしながら実際のところ78歳のタモリさんは、おそらく五合目までロケ車両で移動したものと思われます。富士宮口五合目から宝永第1火口縁までは、起伏のあまりないところを30分ほど歩けば到着するのです。いずれにしても現在ある「富士スバルライン」上にLRTを敷設する方法であれば、新たに自然環境を破壊することなく路面を改修するだけで工事が完了。新たに登山鉄道を通すと聞くと、山を切り崩す大掛かりな工事を想像しがちですが、実際には既存の路面の上に電車を走らせるわけですから、大規模な環境破壊は起こり得ないのではないでしょうか?

富士山目当ての観光客が温泉地を訪れれば宴会コンパ需要も盛り上がる
仮に富士山登山鉄道が完成すれば、山梨県の観光は今まで以上に世界中から注目されることでしょう。バスやマイカーに比べれば、鉄道は格段に使い勝手の良い交通手段です。富士山に登った観光客たちの多くは富士五湖周辺の宿泊施設はもちろん、石和温泉や湯村温泉、下部温泉などの県内各地の温泉宿泊施設に連泊することが期待できます。そうなれば、やはり宴会コンパニオンの出番です。宴会コンパは現状、日本独特の文化となっていますが、もしかしたらこの先、外国人観光客の間でも人気に火が付くかもしれません。いや、一度体験すれば外人さんも宴会コンパにハマるのは間違いありません。実のところ小生こと不肖・西口は今から1年ほど前、訪日中のフランス人男性二人と酒席をともにしたことがあるのですが、二次会で訪れたJR新潟駅前のクラブでのお二人の盛り上がりようといったらハンパではありませんでした。お店の40代のママがさぞかしお気に入りだったのか、肩を抱いて離しませんでしたからね。フランス人男性というと、いかにも紳士的なイメージがありますが、お酒が入って気分良く酔えば日本人もフランス人も同じなのだと知って、なんだかホッとしたものです。世界文化遺産の霊峰・富士山を全世界に広く知ってもらい、併せて山梨の温泉地や宴会コンパニオンをもっともっと売り出そうではありませんか。不肖・西口からの提案でした。

投稿者プロフィール
最新の投稿
山梨県2024.07.05山梨で「角打ち」をしたい人にオススメする厳選4店舗
コンパ2024.06.24リニア中央新幹線計画、静岡県の掘削工事容認で前進へ
コンパ2024.06.05山梨でデートコンパを楽しむための6月のイベント情報
コンパ2024.05.02温泉宿での「一人宴会」よりも安上がりな繁華街でのムフフ…
コメント